革靴のカビを防ごう! 専門家に聞く、カビ取りの方法と予防法
革靴やブーツなどを引っ張り出したときに、カビが生えていたことはありませんか? 靴はカビの生えやすい条件が揃っているため、思いの外カビに悩んでいる人は少なくありません。
人の足は冬場も夏と同じくらい汗をかきます。靴の除湿をしないまま放置すると、湿気が多い梅雨の時期はもちろん、冬場もカビに悩まされる事態が十分に考えられます。
今回は、靴磨き・靴のお手入れ用品全般を製造・販売している(株)ジュエルに、靴のカビ対策の仕方について聞きました。
革靴を出したらカビ!靴に生えるカビとは
カビが生えるには「高湿・適温・栄養分」の3つの条件が必要です。「靴にカビ?」と思いがちですが、実は靴の中はカビの生える3条件を満たしています。皮脂汚れなどがたまりやすい縫い目の部分も、よく見るとカビが点々としていることがあります。ある程度の湿度を必要とする革靴は、カビの温床になりやすい特徴があります。
また、目にする機会が少ないため見逃しがちなのが靴底です。靴底は空気が通りにくく、湿気がたまりやすいことから、カビが生えやすい環境にあります。
家庭用のアルコールスプレーでカビを除去できる?
革靴についたカビは、水洗いでは除去できません。お手入れした直後はカビを除去できたように見えたとしても、水洗いではカビが繁殖する条件の1つである湿気をプラスしてしまいます。気がついたらカビが余計に繁殖していたという事態に陥ることもあります。
カビを除去する際に重要なのは殺菌です。例えば、消毒に用いる家庭用のアルコールスプレーを使えば、カビを除去することができます。水分を含んでいない揮発性の高いアルコールなら、湿気を補充することもないため安心です。
ただし、アルコールで革靴を拭くと、革靴の色落ちにつながる恐れがあります。家庭用のアルコールスプレーなどでカビを除去したい人は、事前に目立たない部分で色落ちしないか試しておきましょう。
また、カビを拭き取った後は、しっかりと靴を乾燥させたり、クリームを塗ったりすることも大切です。
革靴のカビ対策はクリーナーで
ブーツや革靴のカビ対策として、履き終わった後に塗っておきたいのがレザー用のクリーナーです。防カビ、除菌剤を配合しているため、カビからシューズを守ります。こちらはスムースレザー専用で、キャンバスやスウェード素材などには使用できません。
では、レザー用のクリーナーを使って、どのようにカビを除去すれば良いのでしょうか。
革靴のカビケア:乾いたタオルになじませてカビの部分を拭く
クリーナーをさくらんぼの種大に、乾いたタオルに出します。
クリーナーをタオルになじませます。
カビが生えた部分にタオルを当てて、カビを拭き取っていきましょう。
タオルで拭き取ると、このようにカビがついてきます!クリーナーで拭き取ることである程度のカビは除去されるうえに、生えづらくなる効果も期待できます。
ただし、カビの種類によってはまたカビが生えてくることもあるため、過信は禁物です。例えば、白カビと呼ばれる種類のカビは跡が残りづらいですが、根をはっている黒カビは、クリーナーだけでは根が残ってしまうことも考えられます。
また、ケアしたタオルは、手入れ後に必ず破棄してください。タオルにカビの胞子が残っているので、他のアイテムにカビを移してしまう場合があります。洗濯して再利用するのも厳禁です。
夏シューズのカビ防止にも使える
カビ専用の漂白剤もありますが、表面がダメになってしまうため、革靴に使用することはできません。ブーツやレザー素材のシューズのカビケアには、先述のようなスムースレザー用のクリーナーを使用することが鉄則です。
また、こちらのクリーナーは、冬ものを出したときに発見したカビにはもちろん、夏もののシューズをしまうときのカビ予防をすることもできます。
革靴にカビが生えるのを防ぐコツ
革靴のカビを除去できたとしても、以前までと同じように履いたり、保管したりし続けると、またカビが生えてしまう恐れがあります。カビを除去するだけでなく、日頃からカビ対策を徹底することが大切です。
また、雨で革靴が濡れてしまった場合は、靴乾きを助長してくれる乾燥剤を靴の中に入れるのもオススメです。
ここからは、革靴にカビが生えるのを防ぐために行いたい、予防方法の例をご紹介します。
日頃のお手入れを習慣づける
前述したとおり、カビが生えるのに必要な条件は高湿・適温・栄養分の3つです。革靴についた皮脂などの汚れはカビの餌になってしまいます。カビの発生を防ぐためには、定期的にお手入れを行い、汚れをしっかりと落とすことが大切です。
帰宅後にブラッシングして革靴の汚れを落とす、月に1回程度はクリームを使ってしっかりとケアを行うなど、日々のお手入れを習慣づけましょう。特に、靴底(ソール)はお手入れを忘れがちなうえに、汚れもたまりやすいため注意が必要です。
革靴のお手入れ方法については、以下の記事で詳しくご紹介しているので、併せてご確認ください。
靴をローテーションする
履き終えた直後の靴は、内部に汗や湿気がたまった状態です。毎日同じ靴を履き続けると、靴内の湿気が排出されません。カビが発生しやすい環境ができあがるだけでなく、雑菌が繁殖して臭いが気になることも考えられます。
同じ革靴を毎日履くのは控え、複数の靴をローテーションすることも、カビ予防につながります。
革靴の臭い対策については、以下の記事も併せてご確認ください。
靴の内部の湿気を取る
靴をローテーションしていたとしても、脱いだ靴を通気性の悪い下駄箱(靴箱)の中にそのまましまうと、カビや臭いが発生しやすくなります。履き終わった靴の中の湿気をしっかりと排出することも大切です。
すぐに靴箱にしまうのではなく、1日程度風通しの良い日陰に置いておきましょう。靴の中に乾燥材を入れたり、木製のシューキーパーを使ったりするのも有効です。
また、雨に濡れた靴をそのまま放置するのも厳禁です。雨の日に履いた靴は、念入りに乾かすことを心がけましょう。
下駄箱を定期的に掃除する
靴を収納するための下駄箱は、風通しが悪く高温多湿になりやすい、ほこりのような汚れがたまりやすいなど、家の中でもカビが発生しやすい場所の一つです。定期的に掃除をして汚れやほこりを落とす、こまめに扉を開けて風を通すなど、下駄箱内の環境を整えることもカビ対策になります。
市販の除湿剤を置いたり、新聞紙を敷いたりして、湿気がたまらないようにする方法も効果が期待できます。
こまめなお手入れがカビを防ぐコツ
汚れやすく、内部に湿気のたまりやすい革靴は、カビが生えやすいアイテムです。お気に入りの一足をきれいな状態のまま長く履き続けるためには、カビ対策を行う必要があります。
靴を履き終わった後は、風通しの良い涼しいところに置いて、シューズを乾燥させておくようにしましょう。購入した際の箱にシューズを入れて収納しておく人も多いかと思いますが、シューズが密閉された状態になり、カビの温床になりやすいため、できれば避けたいところです。
シューズを清潔にしておいて適度な通気をすることで、次のシーズンもカビの心配なく、気持ち良く履くことができます。
とはいえ、対処していてもカビの発生を100%防ぐことはできません。万が一カビが生えてしまったときは、専用のクリーナーを使って除去しましょう。今回ご紹介した方法を参考に、革靴のカビ対策を行ってみてください。