「普通は嫌い」“渋い”で選ぶ自分らしさ サンロッカーズ渋谷・小島元基選手<Bリーグ×ファッションの密な関係Vol.51>
Bリーグ×ファッション連載51回目は、サンロッカーズ渋谷の小島元基(こじま・げんき)選手が登場。バスケットボールの名門・東海大学在学中にアーリーエントリーで京都ハンナリーズに入団し、2017年にアルバルク東京に移籍。2017-18、2018-19シーズンにリーグ優勝を経験し、2022年からサンロッカーズ渋谷で戦っています。
「今日の服は、礼生からのプレゼント」
――今日は、アディダスのKASINAコラボモデルのサンバを履いてきてくれました。このスニーカーを選んだ理由は?
半年ほど前から、サンバが可愛いなと思ってハマっています。今日は、サンバの中でも優しい雰囲気が好きな一足を選びました。
――小島選手は、どのくらいスニーカーを持っていますか?
100足は超えていると思います。スポーツブランドだとアディダスが好きで、履きやすくて歩きやすいイージーやウルトラブーストを集めていました。最近は、サンバの限定スニーカーが発売されると気になってチェックしています。
もともと収集グセがあって、子どもの頃からカードやゲーム集めにハマっていました。いま収集グセがスニーカーに回ってきていますが、そろそろ部屋に入らなくなると気がついて抑えめにしています。僕は、スニーカーを買ってもすぐには履きません。部屋に置いて「いいなー」と眺めて、数カ月経って「今だ!」という日に履いて、写真を撮ります。Instagramにアップして、「このスニーカー、やっぱりいいな」と思って満足するんです。
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――今日はハットがカーハート、サングラスがA.D.S.R.、トップスがSAINT MICHAEL、パンツがSTUSSYです。コーディネートのポイントは?
服は、ダメージ加工されて少しくすんだようなアイテムが好きです。SAINT MICHAELには好きなデザインが多いので、ずっと着ています。
服も収集グセが発動していて、ちょっとした店ができるほど持っています。試合に勝った時とか、今月は調子がいいなと感じた時など、暮らしていく中で「いいなと感じた記念」で買う服が多くて、その服を着ると「あの時に買った服だ」と、良かった時のことを思い出すんです。
――小島選手の思い出の服は?
今日の服は、(サンロッカーズ渋谷・ベンドラメ)礼生からのプレゼントです。僕がSAINT MICHAELが好きだと知っているので、誕生日にプレゼントしてくれました。それからずっと着ています。
――今は500円のTシャツも一着10万円の服もクオリティが担保されているので、選ぶアイテムはその人の価値観次第です。小島選手にとってファッションとは何ですか?
自分の生き様を表現するものだと思います。服は、パッと見てその人を表現している一番わかりやすいものですよね。その人のすべてがわかるわけじゃないけれど、選ぶもので伝わってくることがある。僕は普通が嫌いなんです。ちょっと変わっていたり、不思議な雰囲気の服が好きで、今の自分を表現するならこんな感じかなと思います。
最近は、スポーツブランド以外の靴も履いてみたいと思うことがあります。LOUIS VUITTONやクリスチャン・ディオールのスニーカーは、大人っぽくてかっこいいです。いつか、ギラギラしたブランドではなくて、落ち着いた雰囲気のハイブランドを履きたいなと思います。
「絶対に、マイナスなことは言いたくない」
――『DOOR by ABC-MART』のBリーガーと漫画連載で、小島選手は『僕のヒーローアカデミア』の爆豪勝己、『ワンピース』のルフィに例えられています。小島選手は、元気で明るくてムードメーカーというイメージを持っている人は多いと思います。
自分で言うのもなんですが、そういう一面も持っています。小学生の頃からみんなの前でふざけて、クラスメイトを笑わせるキャラでした。僕は、みんなで何かをやるのが好きなんです。バスケもみんなで戦う競技ですね。
それに、ネガティブなことが嫌いです。絶対にマイナスなことは言わないし、言いたくないです。(東海)大学のコーチから、ポジティブでいることが大切だと教わりました。ポジティブといっても怒らないということではなくて、例えば「ミスをしたらダメ」よりも、「ミスをしたら次はこうしよう」という前向きな態度でいることです。だから、笑いのために人のネガティブな部分を言うことはないです。「太ってるな」とか、そういうのは自分の笑いではないです。
――注目される立場としてメディアに出ると、その場の空気で求められていることをサービスで言ってしまうことはありませんか? いま誰かを揶揄したがっているといった空気を感じたら、小島選手はどうするのでしょう。
それでも言わないです。どうしても発言を避けられないなら、本心から言ってないとわかるような言い方をしたり、苦笑いでかわしたりしますね。
「人生は一回だから、やりたいことはやってみる」
――2023年7月にベンドラメ礼生選手と渋谷区のギャラリーで写真展を開催しました。どんな経緯で実現したのですか?
二人ともカメラをやっていて、礼生が「写真展をやりたい」と言い出したんです。礼生はやると言ったらやる人で、いろいろ声をかけて実現させました。礼生がやろうって言ってくれたから実現したんです。たぶん自分からはやらないので、礼生に誘われていなければ、ただ写真を撮っているだけだったと思います。
最近、Bリーグでカメラをやっている選手が多いんです。(サンロッカーズ渋谷・田中)大貴さん、(秋田ノーザンハピネッツ)藤永(佳昭)さん、(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)須田(侑太郎)さんなど、みんな良いカメラを買って撮っています。
――Bリーガー合同写真展をやってほしいです!
そうなんです! そういう話になるから、礼生が「オレたちが一番にやって、一番クオリティ高いってことを見せよう」と言っていました。2024年も、去年と同じくらいの時期に写真展を開催する予定です。
――小島選手は、いつ写真を撮るのですか?
オフの日や遠征中の空いた時間です。遠征で日本中に行くので、例えば、長野(信州ブレイブウォリアーズ)に行ったら善光寺で写真を撮ります。
シャッターを押す時も、僕は変わったものに反応します。例えば、店と店の間にある隙間など風景の「渋さ」を感じたらシャッターを押しています。僕はなんでも「渋い」というクセがあって、カッコいいもの・可愛いものなどすべての良いものが混ざった「渋い」なんです。たぶん、みんなには僕の「渋ポイント」は伝わらないですよね。
――この練習場だと、どこが「渋ポイント」ですか?
窓から入った光が「渋い」です。暮れかけた太陽の光が窓から入ってきて、壁に当たっている感じが渋いなと思います。
――小島選手にとって、バスケ以外の活動にはどんな意味がありますか?
自分がやりたいと思ったことをやっているだけです。もちろんバスケも大事ですが、人生は一回だから、他の人に迷惑をかけなければなにをやってもいいかな、くらいの感覚でいます。
――何かをしたいと思っても、なかなか一歩を踏み出せない時があります。そんな状態にいる人に、小島選手からアドバイスはありますか?
僕がアドバイスできるものではないですが……人生は一回だから、自分で何かをしたいと思ったことはやってみないと、いつか絶対に後悔すると思うんです。もし、一歩を踏み出せないという状況にいるなら、やりたいことに向けて踏み出してほしいなと思います。
取材・文:石川歩
写真:白松清之
取材・写真協力:サンロッカーズ渋谷