バスケ・竹内譲次選手はタピオカ好き?SNS担当が知る田中大貴選手・安藤誓哉選手の素顔【Bリーグ広報のてまえみそ<アルバルク東京編>】
Bリーグで2連覇中、今年のアジアチャンピオンズカップでも優勝した『アルバルク東京』。今シーズンからアメリカGリーグでプレーしている馬場雄大選手も含めると、今夏のワールドカップのロスター12選手のうち4選手がアルバルクに所属している、日本を代表するクラブチームです。
少しでもBリーグを見たことがある人なら、トヨタという大企業がバックボーンの“強い優等生軍団”のイメージがあるのでは? しかし、クラブハウスでおこなったこの取材は、選手も交えたゆるい雰囲気ではじまりました。
今回は、Bリーグ初年度の後半にアルバルク東京にジョインして、現在は主にSNS運用を担当する中里美優さんに話を聞きました。チームを近くで見て広報しているからこそ話せる内容は、アルバルクが大好きな人も、アンチアルバルク派も、チームのイメージがちょっと変わるかもしれません。
今さら、タピオカドリンクブースを出すべきか?!
――アルバルク東京というと、リーグの優等生。企業チームで真面目なイメージを持っていましたが、クラブハウスに入ったら、竹内譲次選手とフロントスタッフの皆さんが延々とタピオカドリンクの話をしていて、笑いました。
「どこのタピオカドリンクが一番美味しいのか? とか、そんな話をしています(笑)。先日、竹内選手がタピオカを飲みながらクラブハウスに来ました。207cm の身長の竹内選手とタピオカのギャップが面白くて話をしていたら、今日、フロントスタッフにタピオカドリンクを買ってきてくれました」
――竹内選手、優しいですね! そして、ホームゲームでタピオカブースを出すかどうか話し合っている(笑)。
「菊地祥平選手とザック・バランスキー選手がスイーツ好きなので、スイーツブースの話は盛り上がります。今日のタピオカもそうですが、竹内選手と奥さまはスタッフへの気遣いがすごくて、今シーズンの開幕戦もフロントスタッフに差し入れをしていただきました。個人的には、アルバルクは選手たちチームとフロントの仲がいいなと感じています」
日本代表、田中大貴選手・安藤誓哉選手の“意外な素顔”は?
――そんなフロントにいるからこそ話せる、選手の意外な素顔はありますか?
「田中大貴選手はクールなイメージが一般的だと思うのですが、実はお茶目な方です。私が初めて選手と絡んだ仕事が、のど飴を持った選手を撮影するというものだったのですが、緊張してアワアワしていた私に、一番最初に話しかけてくれたのが田中選手でした。私もクールで寡黙なイメージがあったので『のど飴ちょうだい』って話しかけてくれた時は、びっくりしました。田中選手は周りをよく見ている、人思いな選手です。のど飴は……『他の選手のほうがいいよ』って撮影させてくれなかったのですが(笑)」
――以前、安藤誓哉選手に、ファッションのインタビューをさせてもらったのですが、とてもフランクに話してくれて、楽しかったです。
「安藤選手は特定の誰かと仲が良いというわけではなく、チーム全員と仲良くしています。あまり話したことのないフロントスタッフに対しても分け隔てなく話しかけてくれる選手で、素直に良いことも悪いことも言ってくれます。最近、チームでココナッツオイルが流行っているのですが、流行らせたのは安藤選手で、コーヒーに入れたり、料理に使ったりしているそうです。チームのなかで一番美容に気を使っているのが安藤選手で、何種類もの化粧水を使い分けています」
――どの化粧水が良いのか、教えてほしいくらいです! 今シーズンの安藤選手は要所で得点するシーンが多くて、チームにとっては心強いですね。
「どんな順番でどの化粧水を使うのが良いのかとか、いろいろ知っていて、私よりも女子です(笑)。安藤選手がアルバルクに来て3シーズン目ですが、肌が年々綺麗になっています。今年の夏はワールドカップに行って、その経験で一皮むけた印象があります。アルバルクの選手のなかでも、人気がぐっと上がってきています」
須田侑太郎選手推しで、SNS投稿をしない理由
――今シーズンからアルバルクに入団した須田侑太郎選手は、北海道出身で、栃木ブレックス(現・宇都宮ブレックス)、琉球ゴールデンキングスと渡り歩いてきた選手です。日本各地に、須田選手のファンがいますね。
「本当にファンが多い選手なので、最近の広報内では、須田選手を載せるとSNSの反応が良いねという話をしています。須田選手は、バスケにとてもストイックです。今日も早くからコートに来てストレッチをしていました。各選手で練習前の準備が違うのですが、須田選手は長い時間が必要なので、練習前に取材を入れる場合は終了時間に気をつけます。練習後のワークアウトも、須田選手は最後までやっているイメージがあります」
――アルバルクのInstagramで須田選手を連投したら、一気にフォロワーが増えるかもしれません!
「そうかも(笑)。ただ、アルバルクは代表選手を多く抱えているし、各選手のキャラクターが濃くて多様なので、クラブとして1選手にフォーカスすることはできません。現時点では代表じゃないけれど、以前は代表を背負っていた選手も多いので、各選手にファンがついています。“メディアに出るならこの選手”という代表的な1選手を絞れない。SNS運用の側面でいうと、本当は1選手を推したほうが一気にファンを集めやすいのかもしれませんが」
アルバルク流、SNS運用術
――2017-18シーズンのBリーグアワードで、入場者数NO.1、ソーシャルメディア最優秀賞、ホスピタリティNO.1は全て千葉ジェッツが受賞しました。アルバルクが昨シーズンのソーシャルメディア最優秀クラブを獲った要因には、ジェッツから取り返すという意気込みがあったのでしょうか?
「私がSNS運用を任せていただいている限りは、ソーシャルメディア最優秀クラブは目指さないといけないと思って取り組みました。チームは2連覇をしていますが、集客も売り上げも千葉さんが1位という現状があります。そのなかで、フロント側としてソーシャルメディア最優秀クラブを受賞できたのは良かったと思います」
――アルバルクのSNSは優等生というか、オーソドックスにカッコいい投稿が多いように感じます。
「たしかにうちは、突飛なことはしていません。コアに応援してくださるファンの方もいれば、アルバルクをよく思わない方たちも当然います。私たちは、アルバルクを好きではない方たちが、極力ネガティブな捉え方をしない投稿を心がけています。がんがん攻めるような挑発的な投稿はせず、自分たちからは敵をつくらないのが、今のアルバルクのSNSスタイルです。ただ、どんな投稿をしてもいろんな捉え方があるなかで、このスタイルが頭打ちになるようなら、そのときに考えて、やはりアルバルクスタイルを貫くのか、変えるのか……いつか、考えるときが来るのかもしれません」
――いつか、攻めたSNSスタイルも見てみたいです! ただ、オーソドックスな投稿でも、すでにチームが強くてクールなイメージを作り上げているから、“アルバルクっぽい”格好よさを感じる。チームとフロントが一体になって、アルバルクの世界観をつくっていますね。一方でマスコットのルークは、おにぎり型の胴体が可愛いんですが、足が短くて何をしていても同じ動作に見えます(笑)。
「『とにかくいろいろやってみるーく』という、ルークがサッカーやバランスボールなどいろんなことにチャレンジする企画があって、本当にがんばっているんです! ルークの体型で、なんでもやってみるというそのチャレンジ精神を褒めてあげてください(笑)。2017-18シーズンになりますが、フィギュアスケートの宇野昌磨選手が観戦に来てくれた試合があって、そのときにルークをとても気に入ってくださいました。その後、宇野選手のカバンにルークのキーホルダーを付けてくれていて、うれしかったですね」
休みの日もエゴサしちゃう(笑)
――必ず勝敗がつくのが試合で、中里さんは勝つのも負けるのも近くで見ることになります。選手に近いぶん、負けたときはキツイと思うんですが……、バスケを仕事にして、良かったこと、辛かったことを教えてください。
「地味な仕事もあるので、そういう仕事を、淡々と一般的なサラリーマンとしてやっていたら疲れてしまうと思います。ただ、選手が練習でがんばっている姿を見て、その成果を出し切って試合に勝つと、自分もがんばらないといけないと思えます。辛いことはパッとは思いつきませんが、休みの日も少し時間があると『#アルバルク東京』とか、ひたすらエゴサーチしていたりすることでしょうか(笑)」
――最後に、中里さんが考えるバスケの魅力はなんですか?
「バスケは小中学校の必須科目になっているので、誰でもやった経験があると思います。Bリーグでは、自分でやってみたからこそ分かるプロのすごさを体感できます。サッカーや野球と比べても、得点するスピードが早くて、短時間で人をぐっと惹きつけるスポーツだと思います。一度アリーナで観戦してもらえれば、きっとその魅力を分かってもらえる。アリーナまで足を運んでもらうのが、私たちの仕事ですね」
文:石川歩
写真:白松清之
写真協力:アルバルク東京