パトリック担当者がスニーカーを語る。まとめ4選(マラソン、アイリス、ケベック、スタジアム)
普段から多くのシューズに触れている各メーカーの担当者に、お気に入りのシューズについて聞く “担当者がスニーカーを語る” シリーズは開始から約3年。これまで複数のメーカーさんより、数多くのシューズをご紹介いただきました。そこで、今までに登場したシューズの数々を、各メーカーごとにまとめてご紹介していきます。
今回は『パトリック(PATRICK)』の4モデルマラソン<MARATHON>、アイリス<IRIS>、ケベック<QUEBEC>、スタジアム<STADIUM>をご紹介。フランス発祥のブランドならではのスタイリッシュさが人気のスニーカーについて、カメイ・プロアクト株式会社でパトリックのPRを担当する金子さんに毎回語っていただいています。各モデルに関する深掘りや、“パトリック愛”あふれるコメントが盛りだくさんです!
(1)マラソン<MARATHON>「“足元のメークアップ”を楽しめる」
パトリックの“顔”とも言えるポップな配色が人気のマラソン<MARATHON>。デビュー以来、常にパトリックの人気モデルとして君臨しています。毎シーズン新しいカラーが発表される点でも、パトリックファンならずとも、スニーカーを愛用するすべての人にとって要注目のモデルと言えます。PR担当の金子さんは「時代に合ったカラーがある」と語ってくれました。(2020年4月公開)
――『マラソン』はどんなスニーカーですか?
マラソンは1970年代のフランスで、軽量のマラソンシューズとして登場しました。当時のオリジナルカラーは、ナイロンとスエードのアッパーがブルー、ストライプと、ミッドソールに赤の差し色という、パトリックらしいポップなカラーリングでした。
そして、1992年に復刻したのが、現在のマラソンです。復刻するにあたっては、オリジナルの細身のフォルムを表現するために、同じ木型を採用しました。それは現在も引き継がれていて、今ではパトリックの代表モデルとなっています。
マラソンは、毎シーズン新しいカラーを発表していて、年間10ほどのニューカラーが登場しています。
カラー名にはテーマを設けておりまして、ペンギンやラッコなどの動物シリーズや、梅やゴボウなど、和の食べ物をイメージしたカラーリングなど、キャッチーなカラー名でも注目を集めているんです。
素材はナイロンだけでなく、シーズンに合わせた素材提案モデルも発表しています。キッズモデルも展開していますし、ユニセックス、親子提案としても人気なモデルです。
――譲れないお気に入りのポイント、オススメしたいところを教えてください。
やはり、足を入れた瞬間から心地良い履き心地を感じることですね。
特にクッション性が優れているので、地面からの跳ね返りをとても良く感じられます。かかとにソールの巻き上がりがあり、かかとから足を地面に踏み入れることができるので、歩きやすさも感じられます。
見た目では、アッパーのデザイン、カラーリングも特徴的なのですが、スタイリングで合わせた際の、洗練されたフォルムが高い支持を得ています。パトリックのキャッチコピーでもある、『足元のメークアップ』を楽しむことができますよ。
細身のフォルムによって、スタイルも良くまとまり、オン、オフ両方のシーンで楽しむことができます。長年に渡ってご愛用いただいているリピーター様が多いモデルです。
――『マラソン』のストーリーを教えてください。
同じマラソンでも、定番、シーズンカラー、素材提案モデルと、様々なモデルが存在するので、発売当時は興味を示さなかったカラーリングも数年後には気に入って履いている場合があるんです。そんなことから、大人になったな~と、マラソンを通して思うことがあります(笑)。
数年前にニューカラーを発表、販売を開始して、自分の中で記憶が薄れていたカラーリングを街中で見かけると、改めて良いカラーだと認識して、再販、復刻カラーに繋がることがあります。
いつの時代もトレンドカラーが存在する中で、過去に売れたカラーが再度売れるなど、時代に合ったカラーがあると実感します。
また、最近は若い女性でマラソンを履かれている方を目にすることが増えてきて、そのコーディネートに感心したり、マラソンの持つポテンシャルを感じることができました。
(2)アイリス<IRIS>「プロミュージシャンの方もご愛用」
アイリス<IRIS>は、2003年春夏シーズンに新登場。アッパーは軽くて丈夫で履きやすいカンガルーレザーを使用し、細めの2本ラインとシューレースがレトロな雰囲気を演出しています。車の運転にも最適で、金子さんは「高速道路のパーキングで見かけると、一人でにやけています」など語ってくれました。(2020年8月)
――『アイリス』はどんなスニーカーですか?
カンガルーレザーを使用した軽量モデルとして、2003年春夏シーズンより登場したのがアイリスです。パトリックのヴィンテージカテゴリーの代表モデルとなるよう企画されまして、初期のカラーはホワイトアッパーに2本ライン(レッド系)。ヴィンテージカテゴリーには、同じタイミングで登場したナイロン素材のスタジアムがあり、レザー素材も実現したいという思いから、開発されたのがアイリスだったんです。
デザインは、シューズデザイナーの坪内浩氏からご提案いただきました。元々サッカーと深く結びつきがあったパトリックは、以前カンガルーレザーを使用したサッカースパイクモデルを販売していましたが、アイリスの素材選びでも、軽く丈夫なカンガルーレザーを採用した背景があります。軽いレザーを生かすために、ソールも軽量ソールを採用しました。
――譲れないお気に入りのポイント、オススメしたいところを教えてください。
レザーの質感と軽量であることが一番のお気に入りポイントです! 革自体が非常に柔らかいので足あたりが良く、自分の足に馴染みやすいんです。手に持った瞬間から軽さを実感できますし、軽量な発泡ソールを使用していることもあり、軽くて長時間履いていても疲れにくく感じます。
またシルエットがシャープなので、すっきりと見え、カジュアルな中でも上品さを保った着こなしが楽しめます。長く愛用していると、ソールの減りが気になるものですが、ソールの張り替えも可能なので、革自体の風合いも楽しむことができますよ。シンプルなデザインは流行りに左右されず、長く愛用できるモデルです。
シーズンによって、限定カラーや素材を替えたモデルが登場するのも、お気に入りのひとつです。
――『アイリス』のストーリーを教えてください。
2003年に発売されたアイリスは、2004~06年は売上トップに躍り出ました。当時、カンガルーレザーを使用したカジュアルシューズはほとんどなく、男性を中心に注目を浴びました。ソールの踵部分の巻き上がりがあるので、車の運転の際に着用される方も多いですね。
高速道路のパーキングで履かれている方を良く見かけることがあり、シューレースを変えて履きこなされている方を見ると、一人でにやけています(笑)。
また最近知ったことですが、何人かのプロのミュージシャンの方にもご愛用いただいてます。リズムを取るときにシューズの軽さ、ソールの厚みと踵の巻き上げのバランスが良く、手放せないモデルとおっしゃっていただきました。これは、パトリックに関わっていて自慢できるポイントでもあります。
(3)ケベック<QUEBEC>「フランス発祥ブランドが感じられるモデル」
ヨーロッパテイスト溢れる存在感のあるデザインと、日本の物作りの精神が融合したジャパンメイドのスニーカーであるケベック<QUEBEC>。モチーフはテニスシューズで、パトリックのトレードマークともいえる2本ラインがパンチングで表現されています。シンプルで清潔感のあるデザインはファッションにも合わせやすく、特に女性人気の高いモデル。金子さんの“ファーストパトリック”は、ケベックだったそうで、その思い出を語ってくださいました。(2020年12月)
――『ケベック』はどんなスニーカーですか?
ケベック<QUEBEC>の原型となったモデルは、80年代に発売されたテニスシューズモデルのブルックリン<BLOOKLYN>。様々なカラーリングが特徴でもあるパトリックの中で、ホワイトとブラックのモノトーンモデルは、当時高い注目を集めました。そして2003年の春夏より、ケベックが誕生、発売を開始しました。
パトリックのトレードマークである、かかとの2本ラインとアッパーにパンチングを表現し、ブルックリンと同じくホワイトとブラックの2カラーで、アイレットは6穴から7穴へ変更し、穴が増えた分、つま先飾を短く改良したモデルとなりました。
2007年春夏で一度展開を休止しましたが、2009年の秋冬に再びホワイトのみ展開を開始。2020年の現在も、パトリックの定番モデルとして愛されています。
――譲れないお気に入りのポイント、オススメしたいところを教えてください。
各シーズンで色違いや、素材違いを展開しています。ネオンカラーだったり、パンチングの穴を大きくしたり、かかとの部分の素材をクロコに変えたり、トレンドに合った新しいモデルが登場するところが面白いと思っています。ケベック自体、丸味のあるシルエットが特徴ですが、柔らかいというイメージより、大人の雰囲気も持ち合わせているデザインが人気の要素です。
また、シンプルなデザインの前方に配置されたピスネームは、トリコカラーを採用。パトリックの中でもトリコロールリボンを唯一使用しており、フランス発祥ブランドが感じられるモデルになっています。シンプルで洗練されたデザインに、コーディネートに取り入れやすさがお気に入りです。パトリックの必須モデルと言えますね。
――『ケベック』とのストーリーを教えてください。
私のファーストパトリックはケベックでした。大学生の頃はスニーカーのブランドやデザインは気にせず、お財布と相談しながら身の丈に合ったものを履いていました。
少し大人になると、デザインや見え方を気にするようになり、出会ったのがケベックだったのです。当時はメンズのイメージが強かったブランドでしたが、「シルエットがきれい」ということが大きな決め手で、購入してみることにしました。信号待ちで立ち止まった際、上から自分の足を見下ろした時に幅広、甲高の足の私でもこんなにスマートな足に見えるのだと、嬉しかった記憶があります。
シンプルなデザインでどんなスタイリングでも合う万能なモデルなので、多くの方、特に女性に履いていただいて、シルエットのきれいさと、履き心地の良さも実感してもらいたいと思っています。
(4)スタジアム<STADIUM>「春夏、秋冬と年2シーズン登場するカラーリング」
1970年代のジョギングシューズを忠実にリメイクしたスタジアム<STADIUM>。“味のあるスニーカー”の復活を目指して、2003年の春夏シーズンに新登場して以来、多様なカラーリングと優しい履き心地が人気のモデルです。金子さんは「スポーツジムなどで足元のおしゃれも楽しみたいという方にもオススメ」など、特にお勧めしたいポイントについて語ってくれました。(2021年4月)
――『スタジアム』はどんなスニーカーですか?
スタジアムは、1970年代に発売されていたジョギングシューズをデザインベースに、2003年の春夏モデルより誕生しました。味のある、レトロスニーカーの復活を目指して販売を開始しました。
アッパーには柔らかなナイロン素材、アウトソールには軽量の発泡素材を使用。柔らかなナイロン素材で袋縫い製法を採用したことで、足が包み込まれるようなフィット感のある、優しい履き心地を実現しています。
スタジアムが誕生した2003年春夏カラーは、ブルー、イエロー、オレンジで展開しましたが、あまりにも奇抜なカラーリングで売り上げはイマイチだったと聞いています。パトリックらしいカラーではあるのですが、落ち着いたカラーも欲しいということで、2003年の秋冬は、ホワイト、ブラックが登場し、翌2004年の春夏ではネイビーも発売され、改良を加えながら現在の定番商品となりました。
――譲れないお気に入りのポイント、オススメしたいところを教えてください。
春夏、秋冬と年2シーズンに登場するカラーリングですね。シーズンごとにカラーテーマがあり、そのテーマを毎回楽しみにしています。
2021年春夏のシーズンテーマは「鳥」。カラーの他にも、メッシュ素材のクール・スタジアム<C-ASTADIUM>があり、同じデザインでもカラーや素材が変わると、新たな一面を見ることができます。
スタジアムの発売前は、厚みのあるソールを持つ定番、マラソン<MARATHON>が既に確固たる地位を握っていました。スタジアムは、当時トレンドであった薄底ソール、細身のフォルムを目指して、徐々にファンを獲得し、現在はパトリックの代表的な定番となった点がお気に入りというか、愛着のあるモデルです。当たり前のようにある定番でも、紆余曲折あったのかと知ると応援したくなります。
――『スタジアム』とのストーリーを教えてください。
昔のレトロなかっこいいスニーカーの感じを表現したく、開発されたモデルがスタジアムと聞いた時、合点がいきました。薄いソールに細身のシルエット、2003年の登場から約20年経っても「かっこいいスニーカー」は長く求められると感じています。
袋縫い製法は、言葉の通り足が袋に包まれるような感覚で、薄いソールに対して最初は抵抗があったのですが、履いてみると地面と足の接地が近い分、歩いている感覚がいつもより増してきます。包まれながら歩く実感があり、軽い! つまり、優しいスニーカーなのです!(大袈裟かもしれませんが)多少の運動もできるので、スポーツジムなどで足元のおしゃれも楽しみたいという方にもオススメできる1足です。