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「ジョーダンシリーズは基本の基です」川崎ブレイブサンダース・熊谷尚也選手＜Bリーグ×ファッションの密な関係Vol.42＞
Bリーグ×ファッション連載42回目は、川崎ブレイブサンダースの熊谷尚也選手（くまがえ・なおや）選手。195cm・95kgという体格の良さが際立つ全身黒のコーディネートで登場です。熊谷選手は大学卒業後に栃木ブレックス（現宇都宮ブレックス）に加入し、2017-18シーズンから2季を大阪エヴェッサでプレー、2019-20シーズンから川崎ブレイブサンダースで戦っています。
今まで連載に出た選手たちから「スニーカーの話を聞くなら熊谷選手だよ」と言われてきたので、一体どんな話になるかと思いきや、本人はスニーカー好きで有名だと意識していなかった様子。優しい口調でのんびりと、スニーカーのマイブーム遍歴からクラブの代名詞になりつつあるYouTubeのことまで話してくれました。
ジョーダンシリーズは基本の基
――今日はjjjound × New Balance 990V4を履いてきてくれました。ジョウンドとニューバランスのコラボは入手しづらいスニーカーです。
黒と紺のシックで引き締まった雰囲気が好きで履いてきました。最近、『ニューバランス（NEW BALANCE）』にハマっています。履きやすいし、最新のスニーカーとは違うレトロな雰囲気がかっこいいです。
――どうやって手に入れたのですか？
僕は足のサイズが32cmで、日本ではサイズが無いので海外のサイトで買います。休みの日に家でごろごろしている時は、海外のサイトを見てスニーカーを物色しています。何も考えていないのに気がついたらスニーカーのアプリを開いていて、見れば見るほど欲しくなってくる（笑）。衝動買いしちゃう時もあれば、きちんと物欲をおさえられる時もあります。
――スニーカーは何足持っていますか？
家に入りきらなくなって数年前に思い切って処分したので、今は数が減って50足くらいです。大阪（エヴェッサ）で一緒だった藤髙宗一郎選手（現在はバンビシャス奈良に在籍）に、靴が多くて困っていると話したら「僕が履きます」と言ってくれたので譲りました。それから藤髙選手はけっこう履いてくれているみたいで嬉しいです。
――いま、一番大事にしているスニーカーは？
エアジョーダン1のブレッドです。ずっとジョーダンシリーズが好きなのですが、中でも一番好きなのがジョーダン1です。ブレッドは赤黒のカラーリングがかっこいい！ めちゃくちゃ人気で入手しづらいのですが、頑張りました。
――エアジョーダンは、宇都宮ブレックスの遠藤祐亮選手・鵤誠司選手もハマっていました。鵤選手は、コロナ禍の自粛期間中に5足大人買いしたと話してくれました。
遠藤さんは、SNSで買ったシューズをアップしているのを見て「買ってるな～」と思って見ています。たまに「羨ましいっす」と連絡をします。最近もトラヴィス・スコット × ナイキ エアジョーダン1のかなりレアなスニーカーが当選したみたいです。僕はそもそもサイズが無くて、買う権利すらなかったスニーカーなので羨ましかった！ 鵤選手の5足はやりすぎです（笑）。チャンピオンチームはさすがですね。
――Bリーグの中でスニーカーの話をする選手はいますか？ この連載に出てくれた選手たちは、「熊谷選手がスニーカーに詳しい」とよく話していました！
大塚裕土選手（現在はアルティーリ千葉に在籍）は、川崎にいた時から仲が良くて、今もスニーカーの話で連絡を取ります。
僕はそんなにスニーカーのイメージがついていますか？ 自分では分からないですが、そうだとしたら収納できないと言って手放している場合じゃないですね（笑）。バスケ選手はスニーカー好きが多いです。オフコートもそうですが、オンコートのシューズもこだわりがある。川崎だと、ニック（ファジーカス）は毎週のようにバッシュもオフコートのスニーカーも変えています。ニックは、ジョーダンシリーズだけで数百足は持っていると思います。
――熊谷選手の個人的スニーカートレンド変遷を知りたいです。
栃木（現宇都宮ブレックス）にいたころ、24歳くらいでジョーダンシリーズにハマって、一時期はジョーダン以外は履かないくらい好きでした。そこから『ナイキ（NIKE）』の定番エアフォースやエアハラチにいって、ヴェイパーマックスが出たあたりから最新のスニーカーにハマりました。その後いったんジョーダンシリーズに戻ります。ジョーダンは基本の基として定期的に戻っています。
川崎に移籍してからは（大塚）裕土さんの影響で、『コンバース（CONVERSE）』チャックテイラー＜CHUCK TAYLOR＞とか『アディダス（adidas）』のイージーブースト＜YEEZY BOOST＞を履いていました。少し前からはニューバランス、ナイキのエアフォース＜AIR FORCE＞とダンク＜DUNK＞が多いです。ナイキ以外のブランドも見るようになって、今はカッコいいと思うスニーカーを履いています。
冬服を買うのは、賭け
――今日は、Tシャツがコムデギャルソン、パンツがCOOTIE PRODUCTIONSです。
柄ものは着たことがなくて、夏はワンポイントか無地のTシャツばかり着ています。パンツは（宇都宮ブレックス）渡邉（裕規）さんが着ていてカッコいいと思ってはいてきました。
僕に合うサイズの服があまり無いので、私服選びはめちゃくちゃ大変です。特に冬は、「あの人、絶対サイズが間違ってる」という見た目になるので、買うときはかなり慎重になります。試着したくてもお店にサイズが無いのでネットで買うのですが、丈が足りるのか・肩が入るのか分からなくて、ずっと迷っていたらログアウトしちゃって……冬服を買うのはもはや賭けです。
――熊谷選手は、ファッションにどんなこだわりがありますか？
とにかくシンプルでいることかな。腕時計とか指輪・ネックレスなど装飾品は身に付けないです。出かけるときは、携帯・財布・鍵・イヤホンと必要最低限しか持ち歩かない。
以前、ニット帽に挑戦したんですが、（宇都宮ブレックス）渡邉（裕規）さんと遠藤（祐亮）さんに「似合わない」と言われたんです。それで自信をなくして、二人にそのニット帽をあげました。
――お二人の作戦だったのかも！ 二人はニット帽が欲しかったんです。
そうかもしれない（笑）。あげてから、二人ともずっとかぶってくれていたので、あげて良かったです。一緒のチームにいた頃は、なべさん（渡邉裕規選手）に頼まれてスニーカーを買っていましたよ。ナイキ・ブレーザーの赤と黒を買った記憶があります。
コンディションが上がらなくても、楽観的にいこう
――川崎ブレイブサンダースはYouTubeチャンネルが面白いです。熊谷選手は、試合以外の活動が多い状況をどう思っていますか？
チームの一つの魅力だと思います。バスケットだけやっていて「試合を観にきてください」と言っても、みんなが行動に移してくれるわけではない。今はソーシャルメディアの影響力が強いので、ファン獲得のためにYouTubeをやるのは良いと思います。
正直に言えば、午前中に練習をして、その後にYouTubeの撮影をするのでとても体力をつかいます。でも、撮影が始まって企画にチャレンジすると純粋に楽しんでいるし、その楽しい雰囲気が動画にも出ていると思います。リーグで初めて登録者数が10万人（※）になった結果も含めて、プラスにしかならない活動だと考えています。
※2022年2月19日に、川崎ブレイブサンダースの公式YouTubeチャンネルはBリーグ・Jリーグの全クラブで初めて登録者数が10万人を突破した
――熊谷選手は、2020-21シーズン終了後に受けた手術の影響もあって、昨シーズン前半はコンディションが上がりませんでした。開幕後のチームのテンションと、自身のコンディション不良のギャップをどう捉えていましたか？
ひたすら我慢していました。みんなよりスタートが出遅れているストレスはありました。仕方ないと言い聞かせていたけれど、言葉にするなら悔しいという思いです。
その中でも周りの人の存在は大きくて、チームメイトは常に声をかけてくれたし、トレーナー陣はずっとサポートしてくれました。（佐藤賢次）ヘッドコーチが練習終わりに、「ゆっくり少しずつでいいよ。待ってるよ」と信頼を口にしてくれるのも嬉しかったです。試合会場ではファンの方から「頑張ってね」と言われて、そういう言葉が昨シーズン序盤の支えになっていました。
©KBT
僕の性格もありますが、うまくいかないときでも、あまり考えすぎることはないです。「まあ大丈夫か」「良くなるだろう」と、楽観的に捉えていました。ストレスを溜め込みすぎないためには、逆にそのくらいの気持ちでいるほうが良いのかもしれません。
トップス：COMME des GARÇONS
パンツ：COOTIE PRODUCTIONS
スニーカー：ニューバランス
取材・文：石川歩
写真：白松清之
取材協力：川崎ブレイブサンダース
